オーストラリアのボンド(敷金)ルール|QLDの上限・返金・トラブル対処

クイーンズランド州で部屋を借りると、ほぼ必ず払うことになるボンド(敷金)。いくらまで払っていいのか、誰が預かるのか、どうやって返してもらうのか。実はすべて州のルールで決まっています。

ルールはゴールドコーストでも、ブリスベンでも、ケアンズでも同じです。知っておくだけで、退去のときにもめる確率はぐっと下がります。

ゴルタビの公式インスタグラム 現地から届く、
GCのリアル。
新スポット・イベント・生活のヒントを更新中
フォローする
目次

オーストラリアのボンドとは?クイーンズランドでは州の機関が預かるお金

ボンド(Bond)は、入居時に払う保証金です。家賃の滞納や部屋の破損があったとき、退去時にそこから差し引かれます。役割は日本の敷金とほぼ同じです。

日本と大きく違うのは、お金を預かるのが貸主ではないということ。クイーンズランド州では、RTA(Residential Tenancies Authority/州の賃貸管理機関)が入居期間中のボンドを保管します。貸主はボンドを受け取ったら、RTAに預ける義務があります。

つまり「オーナーの手元にボンドが置いてある」という状態は、それ自体がルール違反です。

ゴールドコースト・ブリスベン・ケアンズ、どこでも同じルール

ボンドのルールは州の法律で決まっているので、クイーンズランド州内であれば都市による違いはありません。サンシャインコーストやタウンズビルでも同じです。

一方で、シドニーのあるNSW州やメルボルンのあるVIC州はルールも預け先も別です。州をまたいで引っ越す場合は、引っ越し先の州のルールを確認してください。

クイーンズランドのボンド預託から返金までの流れ

払うとき|ボンドの上限は家賃4週間分

入居前後に確認しておきたいのは、金額・預け先・受領証の3つです。

上限は家賃4週間分、家賃の額に関係なく一律

2024年9月30日から、ボンドの上限は家賃4週間分になりました。家賃がいくらであっても一律です。週250ドルの部屋なら、ボンドは最大1,000ドル。これを超える額を求めるのは違法です。

シェアハウスでは2週間分を求められることが多く、上限いっぱいの4週間分はあまり見かけません。僕がオーストラリアで住んだ約10か所のシェアハウスも、ほとんどが2週間分でした。

ペットボンドや鍵の保証金も「ボンド」

ペットボンド、鍵やカードキーのデポジット、リネンのデポジット。名前は違っても、家賃以外に「部屋や備品を守るため」に払うお金は、法律上すべてボンドとして扱われます。

そのため、何種類に分けて払っても、合計で家賃4週間分が上限です。「ボンド4週間分+鍵のデポジット別途」という請求は、上限を超えていることになります。

10日以内にRTAへ。届く「通知」が預けられた証拠

ボンドを受け取った貸主は、10日以内にRTAへ預ける義務があります。預けられると、RTAから借主と貸主の両方に「Acknowledgement of rental bond」という通知がメールか郵便で届きます。ボンド番号が書かれた、預け入れの証明です。

この通知が、ボンドがきちんと管理されているかを借主が自分で確かめられる、ほぼ唯一の手がかりです。あわせて、支払ったときの受領証(レシート)も必ずもらっておきましょう。貸主には受領証を渡す義務があります。

払うときのチェック項目ルール
金額家賃4週間分まで(ペットボンド・鍵デポジットも合算)
預け先受け取った貸主が10日以内にRTAへ
証拠RTAからの通知(ボンド番号入り)と受領証

入居したら|部屋の状態を写真で残す

退去時に差し引かれるかどうかは、「入居したときと比べてどうか」で判断されます。入居時の記録がなければ、もとからあった傷や汚れを自分のせいにされても反論できません。

正規の賃貸契約なら「入居時の状態報告書」を7日以内に

不動産会社やオーナーと正式な賃貸契約を結ぶ場合、入居時に部屋の状態を記録する報告書(Entry condition report)が渡されます。借主は内容を確認し、気になる点を書き込んで7日以内に返します。写真や動画も証拠として使えます。

シェアハウスなら、日付入りの写真が頼り

シェアハウスでは、こうした報告書がないことがほとんどです。入居した日に、スマホで部屋全体を撮っておきましょう。撮影日時が残るので、それ自体が記録になります。

シェアハウス入居時に撮影しておく箇所のチェックリスト

気になる傷を見つけたら、オーナーにメッセージで「入居時からこの傷がありました」と写真付きで送っておくと、さらに確実です。

退去するとき|ボンドの返金申請は自分でできる

ボンドを返してもらう手続きは、貸主にお願いするものではありません。借主が自分でRTAに申請できます。

RTAのオンラインサービスか、郵送で申請

申請はRTAのウェブサービス(RTA Web Services)から行います。ログインには州のデジタルID(Queensland Digital Identity)の作成が必要ですが、パスポートなど海外の身分証でも作れます。オンラインが難しい場合は、紙の申請書を郵送する方法もあります。

申請できるのは、入居期間が終わってから。退去前に申請しておくことはできません。

帰国する人は、オーストラリアの口座を残しておく
ボンドの返金は、オーストラリアの銀行口座への振込のみです(小切手や海外口座への送金は不可)。帰国直前に退去する場合は、返金を受け取るまで口座を解約しないでください。RTAに登録するメールアドレスも、帰国後に確認できるものにしておきましょう。

合意していれば早い。していなければ14日の異議期間

返金額について貸主と借主が合意していれば、手続きはスムーズに進みます。オンライン申請の場合、相手に確認のメールが届き、双方が同意すれば支払われます。

合意がない場合は、RTAが相手側に「Notice of claim(請求の通知)」を送ります。受け取った側は14日以内に異議を出せます。期限内に異議がなければ、最初に出された申請のとおりに支払われます。

差し引くなら、貸主は14日以内に証拠を示す義務がある

貸主がボンドから清掃代や修理代を差し引きたい場合、14日以内に、領収書・見積もり・家賃未払いの記録などの証拠を借主に示す義務があります。証拠を示さないのは違法です。

ここでひとつ落とし穴があります。この「証拠を示す14日」と、先ほどの「異議を出す14日」は、別々の期限です。

証拠が届かなくても、異議は期限内に出す
貸主から証拠が示されていなくても、借主が「Notice of claim」の期限内に異議を出さなければ、貸主の請求どおりに支払われてしまいます。納得できない請求が来たら、証拠の有無にかかわらず、まず期限内に異議を出してください。

納得できなければ、RTAの無料調停へ

異議を出すと、RTAの調停(dispute resolution)に進みます。無料で、内容は外部に公開されません。調停員が電話などで双方の話を聞き、合意を目指します。混み具合にもよりますが、待ち時間は平均2〜3週間ほどです。

ただし、調停は「どちらが正しいか」を判定する場ではありません。あくまで話し合いの手助けです。合意できなければ、QCAT(クイーンズランド州の民事審判所)に判断を求めることになります。

シェアハウスの場合|「法律の対象外」でもボンドだけは例外

オーナー同居・3部屋以下なら、賃貸の法律の多くは適用外

オーナー、または家を借りている人(ヘッドテナント)が同じ家に住んでいて、貸している部屋が3部屋以下の場合。借主は法律上「間借り人」のような扱いになり、賃貸の法律の多くは適用されません。

そのため「シェアハウスは法律で守られない」と言われることがあります。

それでもボンドのルールだけは全員に適用

現在は、このケースでもボンドのルールは適用されます。上限は家賃4週間分、受け取ったら10日以内にRTAへ預ける、返金は申請できる、調停も使える。ここまで見てきた内容は、シェアハウスにもそのまま当てはまります。

オーナー同居で4部屋以上を貸している場合や、オーナーが住んでいない家を貸している場合は、そもそも賃貸の法律の対象です。

住まいのタイプ賃貸の法律ボンドのルール
正規の賃貸契約(不動産会社・オーナーと契約)適用適用
シェアハウス(オーナー同居・貸し部屋4部屋以上)適用適用
シェアハウス(オーナー/ヘッドテナント同居・3部屋以下)多くは適用外適用

とはいえ、預けていないオーナーは少なくない

ルールはこうなっていますが、実態は別です。正直に言うと、僕はオーストラリアで約10か所のシェアハウスに住みましたが、RTAから通知が届いた覚えがありません。ボンドはすべて問題なく返ってきましたが、きちんと預けていたオーナーはほとんどいなかったのだと思います。

それで困らなかったのは、たまたま運がよかっただけかもしれません。そして、「RTAに預けてもらいたい」と思っても、それを口に出すのは意外と難しいのです。

「RTAに預けてくれますか?」は聞くべき?部屋探しのジレンマ

ここからは、ルールというより僕個人の考えです。

ルール上は、聞くのも預けてもらうのも当然の権利

RTAへの預け入れは貸主の義務です。借主が「預けてもらえますか」と確認するのは、何もおかしなことではありません。

でも、もし自分が家主だったら

ただ、この問題は難しいと思っています。もし僕が家主の立場で、ボンドを毎回きちんとRTAに預ける運用をしていたとしても。インスペクション(内見)に来た人から「ボンドはちゃんとRTAに預けられますか?」と聞かれたら、たぶん「きっちりしすぎていて、少しめんどくさそうな人だな」と思ってしまう気がします。

もちろん、そうとは限りません。決めつけすぎているのも分かっています。それでも、入居者を選ぶときの判断材料のひとつにはなってしまう。結果として、入居を丁重に断られることもあると思うのです。人気のエリアほど、部屋を選ぶ側ではなく、選ばれる側に立つ場面は多くなります。

現実的な落としどころ

では、どうすればいいのか。僕なりの考えは、「聞かなくても、確かめる方法はある」です。

  • 内見の場で詰め寄るのではなく、入居が決まってボンドを払う段階で、受領証をもらえるか事務的に確認する
  • 入居後、RTAから通知が届いたかを自分で確かめる
  • 届かなかった場合も、受領証・写真・メッセージのやり取りを残しておけば、もめたときにRTAの調停を使える

RTAのウェブサービスには、借主が直接RTAにボンドを払い込める仕組みもあります。オーナーが対応に慣れていれば、この方法を提案するのもひとつです。

どこまで求めるかは、人それぞれです。僕は預けられていない状態のまま約10か所を過ごし、結果的に何も起きませんでした。一方で、大切なお金を第三者にきちんと預かってほしいと考えるのも当然のことです。どちらを選ぶにしても、ルールを知ったうえで決めるかどうかで、いざというときの動き方が変わります。

ボンドが返ってこない?よくあるトラブルと防ぎ方

ボンドが返ってこなかった、という話は僕の周りでも少なからず聞いてきました。印象としては、借主側にも理由があるケースと、言いがかりに近い請求をされているケースの2種類。前者は防げますし、後者もルールを知っていれば対処できます。

「次の人が見つかるまで返せない」と言われた

RTAに預けられているボンドは、次の入居者とは関係なく、退去後に申請すれば返金手続きが始まります。預けられていない場合も、ボンドのルールは同じように適用されます。

ただし、最低滞在期間を守らずに出た場合や、退去の連絡が直前だった場合は、別途何らかの請求を受けることはありえます。退去の連絡は、決まりどおりの期間を空けて、文面で残る形で伝えておくと安心です。

「清掃代」「壁の傷」で差し引かれた

差し引くなら、貸主は14日以内に証拠を示す必要があります。入居時の写真に同じ傷が写っていれば、差し引きに反論する材料になります。

一方で、部屋を汚したまま出ていけば、清掃代を請求されても仕方がありません。退去前には、自室だけでなく自分が使った共用部分も片付けておきましょう。

帰国直前に「返さない」と言われた

いちばん厄介なのがこのパターンです。調停まで時間がかかるため、帰国までに解決しないこともあります。帰国後も手続きは続けられるので、オーストラリアの口座とメールアドレスは残しておいてください。そもそも帰国直前の退去を避け、数日の余裕を持たせるだけでも、交渉の余地は大きく変わります。

結局いちばん効くのは、オーナーとの関係

僕が約10か所のシェアハウスで一度もボンドのトラブルにならなかったのは、どの家でもオーナーとの関係が比較的良好だったからだと思います。といっても、コミュニケーション能力が高かったわけではありません。共用部の掃除やゴミ出しを、誰に言われなくても割とやっていた。その印象がよかったのかもしれません。

多少こちらに落ち度があっても、「まあ毎週掃除してくれてたしな」という温情があった可能性もあります。ルールで守られることと、そもそも争いにならないこと。両方あるに越したことはありません。

困ったときの相談先
RTA(ボンド・調停の窓口):1300 366 311(平日8:30〜17:00)/Tenants Queensland(借主向けの無料相談):1300 744 263/TIS National(無料の電話通訳):131 450。TISに電話して日本語通訳を頼めば、通訳を介してRTAなどに相談できます。※受付時間・番号は変更される場合があるため、各公式サイトで最新情報をご確認ください。

まとめ:オーストラリアのボンドは「RTAから通知が届いたか」だけ確認を

クイーンズランド州のボンドのルールは、ゴールドコースト・ブリスベン・ケアンズで共通です。

  • 上限は家賃4週間分。ペットボンドや鍵のデポジットも合算
  • 受け取った貸主は、10日以内にRTAへ預ける義務がある
  • 入居時に部屋の状態を写真で残す
  • 返金は自分でRTAに申請できる。差し引くなら、貸主は14日以内に証拠を示す義務がある
  • オーナー同居・3部屋以下のシェアハウスでも、ボンドのルールは適用される

全部を覚えておく必要はありません。入居したあと、RTAから通知が届いたか。それだけ確認しておけば、自分のボンドがいまどこにあるのかがわかります。

目次